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新しい視点で大学に進学する University Transfer

研究テーマの考え方 (1)report

なぜ研究テーマが必要なのか?

編入学試験で提出が求められることが多い志望動機書、志望理由書で、中心的に述べることは「大学に編入した後に、取り組みたい研究テーマ」についてです。また、志望理由書の提出が無い大学であっても、口頭試問や面接の中で、「大学に編入したら、何を、あなたのテーマとして研究していきたいですか?」という質問が必須で来るでしょう。
では、なぜ、大学側は、執拗なまでに、「あなたの研究テーマ」を知りたがるのでしょうか?
その理由は二つあります。
一つは、@「大学での学びの形式、スタイル」を、あなたが自覚していて、あなたが、その学びのスタイルに合って、大学で学べることができるかどうか、あなたの姿勢を問うためです。二つ目は、Aあなたの掲げた「研究テーマ」の中身が、志望する大学の学部学科に馴染むものであるかどうか、実現できるかどうか、を確認するためです。

大学の教員は、「プロの研究者」です。あなたの掲げた研究テーマを見た瞬間、説明を聞いた瞬間に、「あなたをこの大学に受け入れるべきか、受け入れても、何とかなるかどうか」を判断できてしまいます。
これに加えて、志望動機書、志望理由書の中で、この研究テーマを実際に進めていくための「簡単な計画、見通し、青写真」を書く必要がありますので、書類審査や口頭試問を担当する教員は、あなたの書いた、この青写真を一瞥した瞬間に、「無理だ」とか「この学生はなんにも分かっちゃいない」とかを判断してしまいます。研究テーマと青写真はセットで考え、きちんと、堂々と、言えるようにする必要があります。

以上から、これから研究テーマを設定していくに際しては、上記の@とAを意識して、進めていく必要があります。勝手気ままに「研究テーマ」では、アウトということです。この@とAは重要なことですので、補足していきます。


大学での学びの形式、スタイル (1)

大学での学びの形式は簡単に言ってしまえば「探索、探求型」です。高校までの「記憶型、習得型」の学びの形式とは、根本的に異なります。そのため、万人に合うわけではありません。大学での学びに合わない人もたくさんいるわけです。
 高校までの、あるいは専修学校までの学びは、授業があって、教諭、教師、教員が、テキストを使って、知識や技術やスキルを、皆さんに覚え、習得してもらうための、「知識を与える型の教育」をしてきました。いわば、皆さんは受身の立場にいて、教壇にたっている教師、教員が、一人、熱くなって、皆さんに声を張り上げ、勢いよく、チョークの破片を飛ばしながら、黒板に板書しているのを眺めているわけです。そして、教師、教員が発話や板書で書いたアウトプットを、自分のノートに記録して、理解し、覚えようしつつ、眠くなっていくわけです。
 では大学どうか?
「大学での講義でも、寝ている学生がいるじゃないか!」という指摘がすぐに来ると思います。確かにそうです。
 なぜか?
大学での学びの根本は「探索、探求型」であることに間違いはありません。自分の関心があることを求め、調べる過程で寝る人はいないはずです。それであるのに、大学の講義でも寝る学生がいるのはどうしてなのか?
 この探索、探求というのは、講義で取り扱う各学問分野の中で、繰り返し、練習していきます。探索、探求のエクササイズですね。各学問分野ごとですから、米文学かもしれないし、美学かも知れないし、流通論かも、金融論かも、会社法かも、心理学かも、はたまた、農学かもしれません。この各学問分野ごとの講義を受け、この各学問分野ごとで、関心を持ったトピックを探索し、絞ったトピックを深く調べる探求をして、それを、文章化して、レポートにして、各講義の担当教授に提出する、という学びの流れを、皆さんは大学で併行して、たくさんの講義科目で進めていくのです。
 それでも、なぜ講義中に眠っている学生がいるのか? それは、各学問分野ごとの講義で、誰も、いきなり、探索、探求はできないので、その学問分野の基礎、ポイントを、担当教授が、テキストを使うか、プリントを配って、説明する部分が非常に多いからです。この説明の部分が講義の大部分を占めている場合が多いのです。この説明で、学生を「受身」にさせてしまうと、高校までの、専修学校までの授業と似たような状況となり、大学生は眠くなってしまうのです。もちろん、高校や専修学校までの授業とは異なり、大学の講義での専門基礎を説明する部分では、様々な工夫がされて、学生の集中を持続させようとしています。教授の発話による説明だけではく、ゲストスピーカーを呼んできて、教壇の上で、教授とゲストスピーカーの掛け合いをやったり、普段見ることができない、映像を見せたり、洗練されたパワーポイントで、ポイントをつかみやすいように、テンポ良く、説明し、難解で、理解困難で眠くならないように、教授は精力的に取り組んでいるはずです。

 でも、すべての教授が、高校や専修学校で扱う内容より、より難解で、簡単には理解できない専門基礎知識を、さまざまな工夫をして教えているわけではありません。ここが残念なところです。工夫をせず、ただ、テキスト中心に、説明をして、聞いている学生の反応を見ない、一方的な講義をしている教授も、ある程度います。この場合、学生は、難解な専門基礎の内容が、聞いても分からず、寝てしまうのです。


大学での学びの形式、スタイル (2)

活動報告写真

ある程度、各学問分野ごとの講義で、ある程度、専門基礎の説明を進んだら、本来の「探索、探求の学び」のエクササイズ、トレーニングとなることを教授が入れてきます。
各学問分野ごとの、その講義で取り扱った専門概念、考えからの枠組み(フレームワーク)を使って、物事の解釈し、その意味を取り出す作業を学生に課します。具体的には、何かのテーマと、疑問点をセットで出して、この課題セットについて、調べて、レポートを書く作業を学生に求めます。これが、探索、探求という学びなのです。もちろん、この探索、探求は、学生自身が動いて、データベース検索、図書館での資料探し、資料読み込み、など、学生が主体的に、積極的に動かないと、まったく前に進みません。こういう主体的なアカデミックな活動が「嫌な」人もいるわけですから、大学教育は万人に合うものではありません。
 大学全入時代になり、大学のブランドにこだわらなければ、大学に進学できるようになり、大学に入ってみたけど、この大学の根本的な学びのスタイルである「探索、探求」に合わない人たちは、大学は苦痛となり、成績が低空飛行で終わるか、留年、退学となっていくわけです。
 この大学での@「探索、探求という学びの形式」に、あなたが合うか合わないかを、大学編入試験の中で、Aあなたの「研究テーマ」が志望する大学と合うかどうか、を含めて、審査しているわけです。その審査の要(かなめ)となるのが、研究テーマです。では、@とAにかなう研究テーマをどう設定すればいいのか、ということを次節で説明します。


どうやって研究テーマを選定するのか?

活動報告写真

やみくもに、考えても、時間が浪費されるだけで、前に進みません。研究テーマの設定は、あなたが大学で何を中心的に学びたいかと連動しています。何を中心的に学びたいかは、別のページで説明しましたので、繰り返しません。
 ここでは研究テーマに絞って、研究テーマ設定の手順(プロセス)を示して、その手順に沿って、ステップバイステップで、質の高い研究テーマにたどり着こう、という話をしていきます。
 ただし、あくまでも、「編入試験に合格するための研究テーマ設定である」ということに限定します。従って、合格して、実際に大学に編入したら、あの時、設定した研究テーマを放棄して、別のテーマを、ゼミや卒業論文用に設定して、まったくOKです。むしろ、その方が良いでしょう。卒業論文の研究テーマは、今回作成する志望理由書に書く研究テーマとは「次元が違います」。卒論での研究テーマなどという、そんな重たいことを、今、考える必要は、まったくありません。あくまでも、編入試験用の研究テーマを、合理的に設定しましょう。
 ステップ1 自分の関心分野を絞り込む
この世の中は、膨大な数の「社会現象」から成り立っています。いいことも、悪いことも、あるいは、いいか悪いかも未定なグレーなことも、善悪不明なことも、無数な現象が、社会の中で起きています。それらをすべて、認識して、把握して、語れる人など、いません。新聞記者さんだって、自分の担当領域には詳しいけど、それ以外は、あまり深く知らないわけです。例えば、政治担当の新聞記者は、与党や野党の動き、議会の動き、内閣の動向などの現象に詳しいですが、文学作品の動向、AIを応用した新サービスの動向などの現象面には詳しくないかも知れません。
この膨大な数に及ぶ現象の中から、あなたが、強く関心を抱くものをリストアップしてください。
さぁ、どうしますか?
あなたの限られた経験と、社会常識、時事知識、を総動員して、あなたが住む地域、国、エリアでの社会現象を上げていくことができるでしょうか?
思いつくことがあまりなく、いきなり、このステップ1で挫折しそうになりませんか?
なぜ、思いつかないのか? それは、あなたへのインプットの絶対量が少なすぎるからです。
要は、あなたが「世間知らず」ということになります。これは18〜20歳の編入を考える年齢では、仕方がないことです。
ではどうすればいいのか?
 まず、集中的に、主要な社会現象をインプットしてください。ここで大事なのは「主要な」ということです。なんでもかんでも、インプットしなさい、ということではなく、あなたが住む社会で、「重要度が高い」現象だけを〜それでも、かなりの数になるはずですが〜、集中的に、だらだらとしないで、インプットしてください。
できれば、本を使うと効率的です。
日経キーワード現代用語の基礎知識「学習版」という本を手元に置き、読んでください。この種の本は、主要な、重要な社会現象を簡潔に解説しています。この本を通読することで、あなたは、この時代、この社会で、重要な現象を知ることができ、その中で、あなたの心を動かす事象をリストアップしていってください。これが最初にやるべきことです。



この先の作業は、ステップ2で説明します。